俺はテニス部に入っていて、その部のマネージャーである先輩と付き合っている。
先輩は、綺麗な人だけど、可愛いところもあって。頼りになるのに、どこか放っておけないところもあって。それに、優しくて、本当に素敵な人なんだ。だから、俺は先輩のことが大好きだ。
・・・でも、先輩はそれほど魅力的な人。俺以外にも、先輩に惹かれている人はたくさん居る。そう、この部の中にも・・・。



「おい、。」

「はい、部長。・・・新しいボールなら、明日届くみたいだよ。」

「そうか。・・・さすが、やることが早いな。」

「それが仕事ですから。」

「ふっ・・・。本当、鳳には勿体ねぇな。」

「ん?何か言った?」

「何でもねぇよ。じゃ、次は・・・。」

「ドリンクだね!用意してくるよ。」

「あぁ、頼むぜ。」



まずは跡部さん。
本当、俺には勿体ないって、どういう意味だろう?(先輩には聞こえなかったのに、俺に聞こえたのは、たまたまだよ?)たしかに、先輩は素敵な人だけど・・・。あの言い方じゃ、自分の方が相応しいとでも言いたそうだったよね?



「・・・ったく、鳳の奴も・・・。」

「俺がどうかしましたか、跡部さん。」

「お、鳳・・・!!い、いや・・・。別に・・・。」

「それにしても・・・。やっぱり、先輩って、俺には勿体ないですよねー。」

「・・・!!!聞いてやがったのか・・・。(小声で言ったつもりだぞ?)」

「小声でも聞こえるときは聞こえますから。」

「(つーか、心を読むんじゃねぇよ。)・・・まぁ、いい。別に、お前を貶すつもりで言ったんじゃねぇよ。」

「それじゃ、どういうつもりで言ったんですか??」

「皮肉だ、皮肉。」

「皮肉・・・ですか。まさか、跡部さんの方が先輩と釣り合っているなんて、考えじゃないですよね?」

「あ〜ん?当然だろう。俺には、もっと・・・・・・。」

「へぇ〜。先輩じゃ足りないと言うんですね??」

「(マズイな・・・。)そういうつもりじゃ・・・。」

「すみません、跡部さん。もう、俺の限界です。言い訳は、来世で聞きますから。」

「なっ・・・!おい、待ちやがれ・・・!ぐっ・・・!!!」



ふぅ〜・・・。とりあえず、これで1人は減ったね!でも、まだまだ居るんだもんなぁ。



。」

「ん?なぁに?どうかしたの?」

「ちょっと疲れてしもて・・・。軽くマッサージしたってくれへん?」

「いいよ〜。」

「悪いな。」

「気にしないで?」

「ホンマ、が居てくれて、助かるわぁー。」



次は忍足さんか。
ちょっと疲れてた、って・・・本当かな?まさか、先輩にマッサージをしてもらう口実・・・だったりしませんよね?もし、そうだとしたら・・・。もちろん、そうじゃなくたって、許しませんけどね!



「はい、こんなところでいいかな?」

「そやな。ありがとう。ほな、もマネージャー、頑張ってな?」

「ありがとう。また何かあったら、すぐに言ってね?それじゃ。」

「おーきに。そうさせてもらうなー?」

「その前に、忍足さん。まずは、俺に言ってくださいね?」

「鳳?!いつの間におってん?!!」

「さっきから居ましたよ。・・・ところで。忍足さん、疲れが溜まっているみたいですけど、大丈夫ですか?」

「そ、そりゃ、もちろん大丈夫や!今、にマッサージしてもろたとこやしなー。ホンマ、はえぇ奥さんになるで!」

「そうですね!でも、忍足さん。俺もマッサージ上手いんですよ?だから、俺がもう少ししてあげますね。」

「い、いや!えぇよ!!遠慮しとくわ・・・!」

「いいんですよ、遠慮なんて。俺が天国のような気分を味わわせてあげます♪」

「嫌や・・・!まだ俺は死にとうない・・・!!ぐはっ・・・!!!!」



よし!これで2人も減らせたぞ〜。他には・・・。



「ん〜・・・。〜・・・?もう少し寝させて〜・・・?」

「駄目だよ。もうすぐ練習試合が始まるんだから。」

「大丈夫〜。絶対、それには間に合わせるから〜・・・。」

「そんなこと言ってー・・・。絶対起きれないでしょ?」

「じゃあ・・・。がチューしてくれたら、起きる〜。」

「ふざけてる場合じゃありません。ほら、起きて!」

「わかったよ〜・・・。もう・・・。」

「じゃ。もうすぐ試合だから。私は準備もあるから先行くけど・・・早く来てね?絶対寝ちゃ駄目だよ!」

「わかってるよ〜。」



ジローさんね。
全く・・・。本当にふざけてるとしか思えないよね?先輩を困らせた挙句、キスをせがむなんて・・・。これは、本気で行こうかな・・・。



「ジローさん。」

「ん〜?なぁに〜・・・?」

「まだ寝たいんですよね?」

「んー・・・。でも、そうしたら、に怒られるから〜・・・。」

「大丈夫です。俺から言っておきますから。」

「・・・何を〜?」

「ジローさんは、永遠に眠ることになりました、って。」

「・・・・・・それって・・・?」

「おやすみなさい、ジローさん。」



・・・ようやく3人目かー。まだ居るかなぁ?・・・あ、あれは!



「――そういうことだ。頼んだぜ、。」

「ん〜・・・。私にできるかな〜・・・?」

「お前にしか、できねぇんだよ。な、頼むぜ?」

「そう言われても・・・。」

「部のためだと思って、頑張ってくれよ。」

「もちろん、みんなの力にはなりたいし、やれるものなら私もしたいと思ってるけど・・・。」

「大丈夫!お前なら、できる。だから、任せたぜ。」

「・・・わかった。頑張ってみるよ。」

「頼りになるぜ。んじゃな。マネージャーの仕事中、呼び止めて悪かった。」

「いいよ。それじゃあ、またね。」



まさか、宍戸さんまで・・・。
宍戸さんのことは信用してたから、話の最初の方を聞いてなかったけど・・・。でも、宍戸さんが先輩を困らせてることはわかった。それだけで充分だ。・・・たとえ、宍戸さんでも容赦しませんよ?



「宍戸さん・・・。」

「どうした、長太郎。」

「今・・・先輩と何話してたんですか・・・?」

「み、見てたのか・・・?!」

「はい・・・。」

「ま、待て・・・!長太郎・・・!!誤解だ・・・!(長太郎の目が本気だ・・・!!)」

「誤解・・・?俺は何も間違っていませんよ?宍戸さんが先輩を困らせているのを見てたんですから。」

「だから!それが誤解だって言ってんだろ?!」

「すみません、宍戸さん。俺、新しいダブルスのパートナーを探さなきゃならなくなったので・・・。」

「長太ろ・・・!!ぐぁ・・・!!」



これで4人。残りは・・・と。



〜!」

「どうしたの?」

「俺、新ワザが出来たんだ!ちょっと見てくんねぇ?」

「ちょっと待ってくれる?まず、これを片付けたいから・・・。」

「できれば、今見てほしいんだけどなぁ・・・。たぶん、かっこ良すぎで、も俺に惚れちまうぜ!なんてな。」

「それは楽しみだね。でも、後でね?」

「OK!」



向日さんも、か・・・。
惚れてしまうぐらい格好良い新ワザ、どうして先輩に見せる必要があるんだろうか。それは、俺への挑戦状と受け取ってもいいですよね?



「向日さん。何なら、俺が見ましょうか?」

「お!マジで?・・・でも、もうに頼んじまったし。」

「でしたら、先輩が来るまで、俺の新ワザに付き合ってくれません?」

「おぅ、いいぜ!でもよー、お前こそに見せなくていいのかよ。」

「えぇ。むしろ、先輩には見せたくありませんから。」

「・・・!も、もしかして・・・!おま・・・!!うわっ・・・!!」



さて、粗方片付いたかな。同い年の樺地と日吉は、そんなことするとは思えないし・・・ねぇ?そうだよね??(・・・・・・ウス。)(・・・・・・あぁ。)
よかった!もちろん、レギュラー以外は問題外だし・・・。



「鳳。」

「あ、滝さん。」



そうか・・・。滝さんが残ってたか・・・。でも、滝さんはどうなんだろう?今のところ、そこまで問題視する必要は無い気がするけど・・・。まぁ、対策は早めに打っておいた方がいいよね!



いい度胸だね、鳳・・・と言いたいところだけど。その前に、誤解を説明しないとね。」

「何のことです?」

「みんなのことだよ。まず、跡部。あんな言い方をしてたけど、本当は君たち2人の仲を認めての発言だったんだよ。」

「そうですか・・・?」

「もちろん。言い方が悪かったかもしれないけど、2人の邪魔をする気は無いよ。それから、忍足。もちろん、疲れていたのは事実。それに、『いいお嫁さんになる』みたいなことを言っていたけど、あれは鳳に向けて言っていたんだよ?」

「・・・・・・。」

「あと、ジローね。をからかったとは言え、最後はちゃんと自分で起きてたんだ。何も、そこまで責める必要は無かったんじゃないかな?それに、宍戸。宍戸に至っては、鳳のことを思ってと話していたんだよ?」

「俺を思って・・・?」

「そう。鳳の部活への集中力を上げるには、休みのときにが鳳に精一杯愛を注ぐ必要があるって話。まぁ、宍戸は『何とか、長太郎を喜ばせてやってくれ』なんてことを言ったみたいだけどね。最後に向日。向日も、新しいワザを見せたいと思っただけで、鳳の邪魔をしようなんてことは思ってないよ。そうじゃなきゃ、鳳のワザをに見せた方がいいんじゃないか、なんて言わないしね。」



・・・たしかに、そうかもしれない。でも、俺は誰にも先輩を取られたくないと思って・・・。



「それに・・・。ほら。」



そう言った滝さんの視線の先には、俺の大好きな大好きな先輩が居た。



「・・・・・・先輩・・・。」

「長太郎。もしかして、嫉妬してくれてたの?」

「・・・はい。」

「ありがとう。嬉しいよ。でも、心配は要らないよ?だって、私は長太郎のことが1番大好きだもん。」

「先輩・・・!!」

「わかったら、今度からは、みんなに迷惑かけちゃダメだよ?」

「はい!」



先輩との約束だ。これからは、少しは我慢しますね?だって、俺も先輩のことが1番大好きですから。
こうして、俺は今まで通りの部活を再開した。新しいダブルスのパートナーを探す必要も無くなったしね。先輩方、すみませんでした・・・。これからもお願いします!



「・・・結局、俺らは、ただアイツらの仲をより深めただけだって話だな。」

「いやいや、そんなんで済ませられへんで?!」

「うん・・・。何か、納得いかないC〜。」

「まぁ、長太郎のことは許してやってくれ。」

「ったく・・・。ホントついてねぇなー・・・。」



でも、本当に先輩に手を出したら、・・・覚悟してくださいね?先輩方♪



「「「「「(何か、寒気が・・・)・・・・・・・・・。」」」」」













 

前回の鳳夢「They convey」は、白イメージだったので、今回は黒イメージを書いてみました!(笑)
これを書こうと思ったきっかけは、「あさき、ゆめみし」というゲームの某退魔師の後輩が(笑)、あまりに可愛かった(ゲームはしたことがないんですが。公式サイト様を見ているだけでもそう思った)ので、黒い後輩が書きたくなったのです!今回の鳳くんは黒いですが、先輩のことは大好きです!!

そして、気付けば、なぜか滝さんまで・・・(汗)。そんなわけで、滝さんの誕生日にアップしてみました!(←どんなわけだよ?!)
滝さん、お誕生日おめでとうございます!

('08/10/29)